ぼくがパチンコから学んだもの

朝、駅前のパチンコ屋の前をとおると、やる気のないような若い人が、タバコ吸いながら「あーくだらねー」感を背中に充満させて並んでたりするのを見ると、「パチンコなんてしてねーで、仕事しろ」とか「こんなんだから日本はダメだよなあ」とか通勤途中のサラリーマン諸氏ならきっと思いますよね。ぼくもそう思います。


でもね。パチンコやりながら時間をつぶしたくなる気持ちもわからなくないですよ。やりたいことが見つからないときって暇な時間がやたらきついんだよね。何かに熱中していると時間忘れられるしね。ギャンブルってのは一番うってつけだよね。勝っても負けてもアドレナリン逆流するからね。


最近、「金価格高騰でパチンコ屋がピンチに」ってニュースがあったんですよ。話をまとめると、「パチンコの景品交換のために使っている金1gのプレートが、金価格の高騰のため、景品交換所で現金と交換するより、金の買取店に持ち込んだほうが高く売れる。中にはパチンコはやらないで玉だけ購入して金に交換して持ち帰る人もいる」ってなことなんですよ。


世の中にはかならず目ざとい人っているんですよね。本当にこれで金儲けしている人がいるんだとしたらすごいですね。もしですよ。この金投資をするために朝からパチンコ屋の前に並んでいたとしたら、そんな若者を嘆いていたおとうさん、どうします?
おとうさんよりずっと賢いかもしれないわけですよ。なんてたってパチンコ屋がグローバル商品市場の入り口になっていたわけですからw。


ぼくもね。若いころパチンコをやっていたことがあるんですよ。2年くらいの間ですけどね。ふんとに多くのことを学びましたよ。「パチンコで何を学べるんだあ?」って声が聞こえてきそうですけど。ぼくが教えてもらったのはね、勝負勘とか、無常観とかギャンブラーなモノ書きが語るようなものじゃなくてね。実は「マーケティング」と「経営」なんですよ。


ぼくが銀座の小さな会社のサラリーマンをやっていたときにね。あるとき会社の先輩がピカピカのデザイナーズブランド(古!)のスーツを着てきて、「これパチンコで儲けて買ったんだぜ」って言うんですよ。ぼくは思いましたよ。「どうせたまたまツイていたんでしょ」ってね。でもね。よくよく話を聞くと、その先輩確実にパチンコで勝つ方法を見出したというんですよ。もちろん、そんな詐欺みたいな話、ぼくはすぐには信じませんよ。おじいちゃんから、金の話は郵便局以外とするなwと教えられていましたからね。ところがですよ。その先輩なんと、パチンコの原資をサラ金から借りてまで始めたというじゃないですかあ。「ひえー」あのサラ金地獄のサラ金ですよ。当時のぼくからしたら閻魔大王がやっていると思うようなところから、金を借りてまでパチンコに投資したというんですよ。そして、先輩の「絶対に儲かる」って言葉が、まるでウオーレン・バフェットがトイレで大をしているときにつぶやいた「ひとりごと」を小をしていてたまたま聞いてしまったように、ぼくの心にささってしまったんですよ。


こなんふうに騙されるってはじまるんですね。みなさんも気をつけてくださいね。ところが、この先輩の絶対に儲かる考え方は、本当に儲かる方法だったんですよ。なんてたって、それから約1年でぼくらは数百万円稼いだんですからね。ぼくなんてね。自慢じゃないですけど、パチンコで稼いだお金で、結婚指輪買っちゃったし(給料の3か月分w)、パソコンも買っちゃたんですよ。最新のマッキントッシュ(性能はiphoneの何分の1だと思うけど、空しい!)とナナオのモニターとHPのスキャナーまで、100万円くらいしましたよ。イタリア旅行にも行っちゃいました。テヴェレの川面を見ながら勝ち組の気分に浸ったものです。
まさに、信じるものは救われるですよね。みなさん、ぼくのおじいちゃんは間違っていました。すみません(何が?)。人の儲け話は信じないとだめです。(だから詐欺がなくならいんですよねw)


そんな自慢話なんていいからどうでもいいから、「どういう方法で勝ち続けたか教えろ」って
感じですよね。はい。まずはね。パチンコ屋の選択方法なんですよね。

「パチンコ屋はオフィス街で探すべし」です。間違っても渋谷とか池袋とか何をやっているかわからない、チーマー(これも古!)と呼ばれる怖い若者がたくさんいるようなところのパチンコ屋に入ってはだめです。なぜか。それはサラリーマンが多いところでやったほうが有利だからです。パチンコ屋のビジネスって、使ってくれる金額と換金される金額の差額の商売ですよね。だから使ってくれる金額が多いほうが、結果として換金される金額の率が高くなるんですよ。サラリーマンの多いパチンコ屋は、営業途中のサラリーマンが時間つぶしで立ち寄ることが多いので、回転率が高くてあまり勝ち負けに関係なしにたくさんお金を使ってくれるんですよね。ところが、学生なんかが多いパチンコ屋は、時間がいっぱいあるし「勝ちたい」気持ち満々なんで、パチンコ屋の儲けもやや厳しくなる、だから当然釘も狭くなるし、あまり玉が出ないパチンコ台が多くなるってわけなんですよ。あくまでも確率の問題なんですけどね。
まあ、ひとことで言うとオフィス街のパチンコ屋はスキが多いってことですかね。


これって、マーケティング的に言うとですよ。ランチェスター戦略の基本中の基本、「競争相手が少ない分野を選び、一騎打ち戦を挑む」なんですよ。


次にですよ。ぼくらは実は稼ぐためにきちんとした計測をしていました。これはですね。パチンコ台ってのは、その中に当りをランダムに引き出すメモリが組み込まれているんですけど、これにはちゃんとメーカー発表の当選確率があるんですよ。300分の1とか200分の1とか。デジタル回転数に対して当りが何回でるかってのが決まっているんですよ。だからここちゃんと計算しないといけないんですよね。

「当選したときに払い出される金額ー投資した金額=儲け」

簡単な数式です。こんなこたあ、誰でもわかることです。肝心なのはここから先なんですよ。時間つぶしでやっているサラリーマンとぼくらの違い。数字がそろわないとすぐ台をたたいちゃうおばちゃんとの違い。競馬新聞片手にワンカップ飲みながらぶつぶついっているおっちゃんとの違い、が生まれる瞬間ですよ。

投資1000円ごとの回転数を数えていたんですよ。つまりですよ。1000円でデジタルが30回まわるパチンコ台があったとしますよね。それでこのパチンコ台の当選確率が300分の1だったとすると、計算上は1万円の投資で300回転できますから、1万円の投資で1回当たるということになります。つまり、このときに換金できる金額が1万円以上なら必ず儲かりますよね。もちろん、確率ってのは統計上の平均値ですから1000回まわして当たらないときも、1回で当たることもあるわけですが、時間をかけてやればやるほど、この300回に1回の確率に近づいていくわけですよ。


つまり、これはマーケティング戦略でいうところの基本中の基本、ROI(リターン・オブ・インベストメント)という考え方なんです。費用対効果ですね。たとえば、いくら広告宣伝費をかければいくらの利益が生まれるのかということをしっかり考えなければいけないということです。


もちろん、この数えるという行為には相当な苦難が待ち受けます。想像をしてみてください。1日じゅう数を数えているわけですよ。ちょっと会社のかわいい子のことを思い出したり、いやな先輩の顔を思い出したりしてみてください。すぐに数字なんて忘れちゃうわけです。となりでパチンコやっているおばちゃんに声をかけられた日にゃあもう台無しです。

そうした苦難をしっかり乗り越えないと、マーケティング優位は生まれないわけです。ここ、大切なところなんですよ。みんなすぐ代理店に広告とか○投げして、結果悪かったら「お前らのクリエイティブがいけないんだー」とか、「媒体のせいだあ」たとか、そんなこと言っている人思い当たりません?苦難を乗り越えてきちんと自分で数を数える、たとえ腹が減っても、眠くなっても自分で数え続ける。そうじゃないと本当のマーケットのことなんてわかるわけないじゃないですか。ねぇ。社長。


努力とえいば、ぼくたちはもうひとつ大変な努力をしていましたよ。これは「止め撃ち」という
ワザ(誰でもできるってw)なんだけど、必ずパチンコ台には玉の発射を止める、早漏防止、おっと失礼、とにかくそういうボタンがついているんですよ。ぼくらはこれをまめに人差し指で押していたんですよ。じゃあ、いつ押すか。「今でしょう!」じゃなくってデジタルが回転しているときなんですよ。知らない人に一応説明しますけど、パチンコ台はデジタルの回転を4回まで保留できるんですが、それ以上は何回、回転させる穴に玉が入ってもムダになっちゃうんですね。だから、その間、ムダな玉を発射せずに1000円で回転数を上げるための努力をするために、コツコツとこのボタンを押すわけです。想像してみてください。来る日も来る日もボタンを押し続ける姿を。これはもう、洞穴の中で写経する宮本武蔵級の修行ですよ。正確に計算していないので本当かどうかわかりませんが、いつか先輩がつぶやいていました「一押し2円だな」って。


そして、この行為もマーケティングの重要な考え方、「1位になれるまで、あきらめない忍耐力を持つ。」に通じるわけです。「1位じゃなきゃダメなんですか」と言っていた。れんほー先生にぼくも言いたい。「あなたもボタンを押しなさい」1位じゃなきゃだめなことがきっとわかるでしょう。


ということで書いているとまだまだパチンコ屋でマーケティングや経営に通じる考え方はたくさんあるんですけど、今日はここまでにしておきます。ハイ。きりがない。
ただね、ぼくがここで言いたかったことは、ビジネススクールMBAもいいけれどパチンコ屋
も忘れないでねってことなんですよ(本当かよw)
常々私は息子に語っております(煙たがられていますけど)「学ぶということは学ぶものの
姿勢にある」と。すぐに母親と一緒になって先生の悪口いったりとかね。教え方が悪いとか。
有名な学校はいい教育ができるとかね。違うんですよね。「どこにいても学ぶ側の姿勢次第で、学ぶこともできるし、学ぶこともできない」ということなんですよ。

また、なんか煙にまかれれたような気分になっていますかね?あなた。それでいいんです。信じるものは救われるです。


あと、念のため書いておきますけど、若かりしころのぼくたちは、こうしてパチンコばかりしていたわけではありません。ちゃんと当時まだ無名企業だったパチンコのSANKYOに営業に行って、少しはお仕事ももらっていましたよw。
それから、ぼくはパチンコを推奨しているわけじゃないですからね。ネトウヨのみなさん、ぼくのブログ炎上させないでね。(誰も読んでいないってw)

@ankeiy