ヘテロトピア・マーケティングのススメ。

みなさん、お元気で師走をお過ごしでしょうか。しばらく更新しなかったら、だいぶブログへのアクセスも減ってしまいました。これでは「なんとなくまずい」ってわけで、「てこ入れ」でこの文章を書いています。(何がまずいのか自分でもよくわかんないんですけどね)というわけで、みんなの党も分裂したことだし、たまにはマーケッターらしいことを書こうと思います。

今回のテーマは「ヘテロトピア」なんですけど、なんのこっちゃかわからない人がほとんどですよね。ぼくも先日とある会合ではじめてこの言葉の意味を知りました。今月8日まで舞台芸術の祭典「FT(フェスティバル東京)」で「東京へテロトピア」という作品が発表されていて、それで話題に上ったんですけどね。この「東京ヘテロトピア」っていうのは高山明さんという方が中心となって演出され、東京の中にある「ヘテロトピア」を巡りながらラジオ放送を聞くといった舞台演劇の枠組みを大きく逸脱した、なんだかよくわからない、そう、とてもとても実験的作品なんですよ。これはこれですごく興味深いんですが、今回はこの難しい作品の話ではありません。ぼくのアンテナに「ビビビ」ときたのはこの「ヘテロトピア」という概念なんです。

ヘテロトピア」ってのはもともと医学用語らしいです。「内臓が本来の場所とは異なる場所にある異常」という意味らしいです。これをミッシェル・フーコーというフランスの哲学者が社会現象と結び付けて、「現実の中に位置は占めているけど、あらゆる場所の外側にある異質な場所」というような意味で使ったことで一般化されるようになったみたいです。なんて言ったって難しくてよくわかんないですよね。ぼくもよくわかんないので簡略化して図にしたいと思います。

これです。今回は豪華に筆ペンを使って描きましたw

(いつも思うんですが、どうしてぼくって図表を描くのがうまいんでしょうw)

それでですよ。ここからが本題なんですけど、この「ヘテロトピア」っていう場所は社会の外側に異質なものとして追いやられているんですが、実は社会と深く結びついているとフーコーさんは言うんです。そして、この小さな異質な場所をのぞき込むと、みんなが暮らしている社会の現実が逆によくわかるかもしれないと考えるわけです。

よく海外に住んだ経験のある人が、日本のことが良く分かったとか、好きになったとかいいますけど、これとまったく同じだと思うんです。日本人だから日本とは離れられない。でも、外で異質な場所に置かれて初めて本丸が理解できるということなんですよね。

そこでぼくは「ぴーん」ときました。

「ははーん。テレビでオネエキャラが人気なのはそういうことなんだ」

もう賢い人なら理解できますよね。オネエというのは社会で異質な存在です。ですからこの異質な存在はテレビ画面を通して、「ヘテロトピア」を覗きこむことができる望遠鏡なんですよね。これによって視聴者はなんとなく自分のいる社会の良さや逆に悪さを理解することができるわけです。だから人気が出るんです。テレビ局もはずせないわけです。

そこで、ぼくはまたまた「ぴーん」ときました。

「ははーん。2丁目がぼくを魅了して止まないのはそういうことなんだ」

そうなんです。なぜぼくが2丁目になぜ魅力を感じるか。それは2丁目そのものがヘテロトピアなんですよね。そこを訪れる。そして知ることで、ぼくは現代社会を理解しようとしていたんです。

そこで、ぼくはまたまたまた「ぴーん」ときました。

「ははーん。いけてないビジネスと、いけてるビジネスの差もそこにあるんだな」

頭のいい日本を背負って立つようなみなさんなら既にお解りなりましたよね。そうなんです。いけてないビジネスというのは「現実社会」ばかりを見て「コト」を起こそうとしているんです。現実社会を一生懸命調査して、やれマーケティングデータがどうだとか、やれトレンドがどうだとか。ところがみんな必死で「がんばってるよー」とビジネスしているつもりなんですけど、みんな同じものばかり見ていて、みんなと同じ行動しかできないわけです。仕方ないですよね。だってそれが社会なんですから。一方で、いけてるビジネスっていうのは、「ヘテロトピア」を見ているわけです。それでいて現実社会のことを他の人とは違う視点でとらえている。そして時代を良く分かっているというわけなんです。

そこで、ぼくはまたまたまたまた「ぴーん」ときました。

「ははーん。うちの会社のやっている成功報酬型広告ってやつはちょっとヘテロトピア的じゃないですかね」

そうなんです。広告ビジネスってTVCMや新聞広告が王道なんですよ。だって広告市場6兆円のうちほとんどがマスメディア向けの純広告で成り立っているわけですから。ネット広告市場だって成功報酬型広告ってのは小さなマーケットなわけです。そうですそこはまさにヘテロトピア的な悲しいワールドなんです。でも、そこを覗くってことは、実は広告ビジネスを最も良く知る方法の一つなわけです。

「なんだよ。俺たちのビジネス結構いけてるじゃん。」

うちの会社のスタッフがどう百歩譲っても「広告業界の中でも、ずば抜けて広告ビジネスに詳しくて優秀だなあ」と以前から思っていたんですが、そういうことなんですね。(なんかやだなあ。この文章、自慢話のようになっちゃって。本意じゃないけど流れ的にしょうがないですよね。)

まあ、ぼくの存在そのもものが「ヘテロトピア」的かもしれないということで、それに免じて今回だけは許してくださいw。

@ankeiy