エルシャダイとブラックスワンの関係について
「大丈夫だ、問題ない」このフレーズ知っていますか?最近もTVCMでも流れていますよね。アクションゲーム「エルシャダイ」の中の人気のせりふですよ。「そんな装備で大丈夫か?」って問われた主人公がこのセリフを使うんですよ。半年くらい前ですかね。うちの家族ではやりました。なんだかわけわからないんですけどね。兄弟げんかがはじまるとぼくが決め台詞で「大丈夫だ、問題ない」って言うんですよ。すると二人ともニヤって笑ってけんかをやめるんですね。まるで魔法のような言葉でしたよ。奥さん。
このエルシャダイというゲームが売れているのかどうか知りませんけどね。少なくともプロモーションで配布した動画は、このセリフで大いに盛り上がりました。ネットだけじゃなくて秋葉原なんか店頭のPOPにもバンバン使われていましたからね。まさにバイラルマーケティングでは大成功というわけですよ。
でもね。そこでふと思うわけですよ。なんで「大丈夫だ、問題ない」っていうのがここまでウケるんですかね?不思議ですよね。
この「大丈夫だ、問題ない」はゲームの中では「そんな装備で大丈夫か?」という他人の質問に対する単純な答えなんですね。けれども、ウケけている理由は他の意味を含んでいるからじゃないかと。ぼくの仮説はね。みんなは自分に言い聞かせているんじゃないかと思うのですよ。「いろいろ問題あるけど大丈夫か俺?」に対する答えとしての「大丈夫だ、問題ない」じゃないですかね。
ネットの普及でね。すごく情報が増えて、調べようと思えばなんでも調べられるようになったじゃないですか。なんたっていまや誰でも情報発信者ですからねワラ。けど、情報が増えすぎると全部調べることなんて到底無理ですよね。だから、逆にすごく不安になるじゃないですか。そのときに自分自身でさらっと納得したいですよね。問題をスルーしたいよね。そこでみんな冗談ぽくしか言えないけど「大丈夫だ、問題ない」としたいのではないかと。
このセリフをさらに元気にしているのが、「ブラックスワン」だと思うんですよ。そう、あのどんなに準備していても人間では予測不可能な出来事が必ず起きるという「不確実性のリスク」ですよ。
リーマンショックのようなことや、今回の原発問題もそうですけど。最高に優秀な人間が作り上げてきた仕組みでさえもブラックスワンであっという間に吹っ飛んでしまう。だからそこんところははじめから「大丈夫だ、問題ない」とスルーしちゃおうていう対処方法ですね。
エルシャダイのPVにはもうひとつのパターンがあって「そんな装備で大丈夫か?」っていう質問に対して「一番いいのを頼む」っていうのセリフもあるんですよ。これも複雑な世の中でなんだかわからないけど「一番いいのをよろしくお願いします」っていうぼくらの空気と符号して面白いですね。
一応聞いてみます。「こんなこと書いていて、僕の人生、大丈夫でしょうか?」