あれから1年半、日本のネット企業はどうなったのか?

少し体調を崩していました。お久しぶりです。体調を崩した時の話は別の機会にまとめたいと思っていますが、久しぶりにネット企業のことを少し書いてみました。ネット系上場企業のランキングです。前回から既に1年半近く書いていないんですね。時のたつのははやいものです。

この1年半に何があったのか?まずは2016年10月21日の株価終値による時価総額ランキングをみてください。

単位は億円。2016年10月21日と2015年4月24日の終値から算出。億以下は切り捨て。赤字は1年半前から伸びている時価総額

今回のランキングからリクルートを入れてみました。いまやほとんどのサービスが紙媒体じゃなくてネットでしょうからね。日本最大のメディア企業と言ってもいいと思います。Lineもついに上場しました。おめでとうございます。

全体の話をしますと、しょっぱい局面です。というのもネット産業全体に大きな追い風となったスマホ旋風がこの1年〜2年で失速しているため、時価総額を落としている企業も多いからです。リクルートの2兆3千億円、Lineの1兆円を加えて、ようやく前回測定の2015年4月の総時価総額を上回ることができたというような状況です。

個別にみてきますと、医療情報サービスのエムスリーがついに1兆円企業の仲間入りしました。おめでとうございます。思えばこの企業数百億円しか時価総額がないときにぼくは投資していました。あのまま売らないでいればよかったと後悔しきりですが、まあ人生とはそんなものでありますw

次に気になるのが、スタートトウディの躍進です。みなさんご存じのZOZOTOWN運営企業です。スマホの普及でぐっと売り上げを伸ばしてきました。国内のECとしては別格。まさにモバイルの勝組ですね。

前回までは上位に陣取っていたスマホ関連ゲーム会社もスマホ需要の一段落で、向かい風の中にあるようです。そんな中でDeNAは数字を伸ばしています。これは任天堂との提携によるところが大きいようです。さすがの筒香ですw

中堅どころで目を引くのがディップとエン・ジャパンの急伸です。ここ数年、労働市場はタイトなわけですが求人転職メディアを運営する両者は業績を大きく伸ばし、株価を伸ばしてきています。同じく不動産市場の活況を追い風にネクストも数字を伸ばしていますね。アベノミクス銘柄と言ってもいいかもしれません。一方、アベノミクスの失速でオンライン証券会社が軒並み時価総額を落としています。厳しいですね。

おやおや、ちょっと変な現象が起きています。親会社のGMOインターネット時価総額を子会社のGMOペイメントゲートウェイが抜いちゃっていますね。本来親会社の価値が大きくないとおかしいですが、株式市場とはこういうものですw親会社が過小評価されているか?決済とかフィンテックとかテクマクマヤコンとかいろいろな原因がそうさせているのか?

ネット広告系では、セプテーニ、DAコンソーシアムが数字を伸ばしていますがフェィスブック広告などのソーシャル系広告の取り扱い拡大が追い風の要因のようです。


最後に、33位のファンコミュニケーションズにブルーの網掛けがされていますが、これは何を意味するのでしょうか。不思議です。同社は成功報酬型のアドネットワークを運用している企業のようですが、良い会社のようです。よろしくお願いします。

と、ざっと1年半の流れを振り返ってみましたが、日本のネット企業、50社合わせて時価総額の合計が15兆円。フェィスブック38兆円、アマゾンの39兆円の半分にもなりません。ネット産業はこれから経済の要にならなければいけない分野です。各社一層の奮起が必要だということだ思います。あらためて、がんばれー!日本のネット企業ということですね。

ただ、みなさまにお伝えしたいのは、こういうコラムを書くと、なんだ日本のネット企業しょぼいなとか、ネット産業ももう成長が終わりかとか想像してしまう人がいるかもしてませんが、それは誤解です。米国でもまだEC化率10%程度、日本に至ってはまだ6%程度、地上波とネット動画の垣根がようやく取り払われ、これからユニクロやセブンなどの小売業も本格的にネットに参入し、まさに20年後、30年後は今とはまったく想像できないネット社会が誕生していることでしょう。勝負はこれからです。

最後に、17年前にぼくが会社を立ち上げて資金集めをしていたときに、とあるベンチャーキャピタルの方がぼくへの投資を断り、帰り際に言い放った言葉をみなさんに贈りたいと思います。

彼はこう言いました。

「日本にほんとにECなんて流行ると思っているの?(大丈夫?)」

この方、1999年に本気で国土が狭い日本ではネット通販など普及しないと考えていたわけですけど、そう思っていた人も当時多かったと思います。ところがECはいまや生活になくてはならいものになりつつあります。常に未来の現実は今の想像を超えるのです。と、ぼくを含め読者のみなさんへの戒めの言葉で閉めたいとおもいますw

@ankeiy