ナスダック高値更新記念!いま日本のネット企業で何が起こっているのか。

ついに米ナスダック市場の指数が高値超えましたね。前回の最高値が2000年3月ですから、15年ぶりの出来事ですね。思えばこの15年間、ITバブルの崩壊、911テロ、リーマンショックと数々の困難を乗り越えてのようやくの高値です。感慨深いですね。個人的にも15年前は、2歳の子供を膝に抱えて早朝、ナスダックに上場する企業の株価をチェックしていたんですけど、その子がもう高校3年生になるんですよ。時の流れとは速いものです。

日経新聞に高値更新に関する記事が出ていたんですけど、ナスダックもこの15年でいろいろあったようです。まず、上場企業数が4800社から約半数になっているそうです。ナスダックといえばITやバイオなどの新興企業が多いですから、出入りが多いのは仕方ないと思いますが、数がそんなに減っていたとは驚きです。多くの新興企業が退場を余儀なくされ、また上場のハードルが上がっている(あるいは上場する前に企業売却する動きが広がっている)ということがいえると思います。ツイッターやアリババのようなIT企業がNYSEに取られてしまうなんていう市場間の競争も激しくなっているのでしょう。

ナスダック高値更新をけん引する銘柄もずいぶん変わりました。昔はマイクロソフトとかオラクルとかのソフトウェア開発企業が中心だったんですけど、今はグーグル、アマゾン、フェイスブックなどのネット企業が中心です。しかも、それもそれぞれの企業が時価総額数十兆円というとんでもない規模の企業になっています。

さて、これから高値を突破したナスダックはどうなるのでしょうか?米国の金融引き締めやギリシャ破たん懸念などに左右されることは間違いありませんが、高値達成感でいっぷくなんてこともあるかもしれません。いま、第一四半期の決算の真っただ中なので、個別の銘柄の状況にも触れておくと、フェイスブックもグーグルもすごく数字はいいんですが、利益の伸び率がちょっと落ちているんですよね。これはモバイル化や動画化で広告のクリック単価が下がっているということもあるんですが、開発や買収競争が激化していてコストの上昇も激しいんですよね。広告中心にビジネスが成り立っている企業はレッドオーシャンで戦うという宿命をもっているので仕方ないんですけどね。一方相変わらず赤字継続中のアマゾンですけど、こちらは再評価されているようです。赤字なのに再評価って変な話なんですが、急成長しているクラウドサービスの利益に言及したらしいんですけどこれが思った以上に利益率が高かったということが好感されているようです。世の中わからないもんですね。こんな流れが指数に影響を及ぼしていくことでしょう。

さてさて米国の話はこの辺にしておいて、日本のネット企業について少し書きましょう。まずは以下の表をみてください。私がやっているネット企業時価総額上位50社の定点観測です。前回が昨年の10月17日の終値ベースですから、今回4月24日の終値はちょうど半年後の動向ということになります。


*時価総額は2015年4月24日の終値Yahoo!ファイナンスより引用しています。*単位は億円です。千万以下は切り捨て。*プロバイダー専業を除くキャリア、ソフトウェア開発(セキュリティ・会計など)やSI中心の企業は 除いています。*基本サービスや販売ルートがネット中心の会社をセレクトしています。*この他にも知らないすごい会社があるかもしれませんがご容赦ください。*リクルートトランスコスモスなど微妙な会社は除いています。あと任天堂スクウェアなども。


まず全体の動きですが、50社全体の時価総額総計が半年で約44%上昇しています。すごいですね。でもこれはアベノミクスの恩恵も大きいと思います。日経平均もこの間大きく上がっていますので、ネット企業のセクターだけが高いパフォーマンスだったととは言えないですね。

それではもう少し個別に見ていきましょう。まず、この半年間の出来事としては楽天がヤフーの時価総額を抜くなんていう局面がありました。今回の数字では残念ながら楽天は2位ですが、この半年間の株価上昇が光りますね。国内事業の業績が順調ということもありますが、いままで海外に積極的に投資している分が今後回収に向かうのではないかという期待が大きいようです。

エムスリー、カカクコム、スタートトウディなどの企業も順調な業績から株価を伸ばしました。Monotaroも大きく値を飛ばしています。ゲーム関係はまちまちですかね。その中でネクソンは躍進していますね。あと、サイバーエージェント。こちらはゲーム、広告、投資とまんべんなく業績を伸ばし、高い評価を受けていますね。DeNAが大きく伸びたのはご存じ任天堂との提携ですかね。Aiming、Gumiという直近IPO組もランクインしています。

その他、ネット企業の老舗、GMOグループの株価が大きく見直されていますね。GMOクリックホールディングスも初登場しています。業界的に元気なのは、ぐるなび、一休などでしょうか。こちらは本年1800万人に到達するのではないかという旅行客のインバウンド消費期待でしょうか。逆に元気がないのがネット広告業界ですかね。サイバーエージェントをのぞいては軒並みダウン、ランク外にはずれてしまった企業も数社ありました。これはスマホ普及が一巡してしまったなどの理由で市長の成長期待がしぼんでしまっているのでしょうか。まだネット広告1兆円市場になったばかりじゃないですかw

あれあれ、また27位にあるファンコミュニケーションズという会社に青い網掛けがされていますね。不思議ですね。これは何でしょう?ブログ書いていると、この会社にはなんか頑張ってもらいたいと思ってしまうんですよね。謎ですね。そんな思いが網掛けに化けるのでしょうかw

さてさて、ざっと書いてきましたが、時価総額、株価というのは企業の業績+その企業の持つ将来への期待で決まります。業績がいいからと言って必ずしも株価は上がるものではなく、大きな夢ばかり語っても業績が追いついてこなければ必ず市場から見放されてしまいます。投資をする際はとにかくまずは自己責任をしっかり確立して、投資先の企業を良く調べ、業界を調べ、過去の株価を調べ、市場の将来性を調べ、調べ調べすることをお勧めします。短期でちょこっと儲けようという人はちょこっとだけリスクも高いので十分お気を付けください。このブログも一切投資を勧誘するものではございませんのでご自分の頭で考えて日本の未来を買ってくださいね。

先週末現在時価総額1兆円を超えている国内企業は131社、その中でネット企業はまだたった2社です。ネット経済の大きさを考えればまだまだその可能性は大きいはずです。しっかりと足を固めつつ、日本のネット企業にはこれからも頑張ってもらいたいと思います。

現場からは以上です。

@ankeiy