経営者のジレンマの苦しみと楽しみについて

みなさん、こんにちは。あっという間に2月ですね。昨日立春だったんですけどまだまだ寒そうですね。今日は東京でも雪が積もりそうです。風邪ひかないようにしてくださいね。さてさて今日は、みなさんに経営について少し考えてもらおうと思ってブログを書くことにしました。今回も本年のこのブログの基本路線「まじめか!」でおおくりしたいと思います。

個人投資家のみなさんのTwitterやブログなど眺めていると、「なんだこんだけしか利益でないのかあ」とか、「こんなちっぽけな増益なんて意味あんのかあ」とか、経営者の心にいちいちグサリと刺さるような言葉が並んでいて、体に悪いのですがw、まあ、立場が違えば仕方ないですよね。投資家のみなさんは株価が上がってナンボ。儲かるネタがあってはじめて評価できるわけですから。でもね。経営者側から見るとたとえ100万円でも1000万円でも利益を増やすってことはほんと大変なことなんですよね。

スマホゲーム会社や某巨大メディア企業の決算なんかみていると、簡単に何百億っていう営業利益出しちゃうから、もしかして利益出すことって簡単じゃないの?って考えちゃう人いるかもしれませんが、それはそれは言葉であらわせられないくらい大変なんですよ。ちょっと書くだけでも人件費、仕入れ原価、家賃払ったりして、アイディア載せて、お客さん口説いて買ってもらって、ようやく営業利益が出て、金利とか税金払ってようやく少しだけ利益が残るっていうこの複雑な構造の中で利益増やさなきゃんらないわけですからね。パズドラよりずっと難しいでしょw

ぼくは昔、フリーで仕事していたことがあるんですけどね。何社かコンサルティングのようなことしていてて月額で契約料もらったりしながら生活していたことあるんですけどね。その時にもらっていた月額を、会社作って事業はじめてその利益で抜くまで3年かかりましたよ。ほんと、事業で利益出すのって大変なんですからw

いやいや、こんな苦労話をしだすときりがないのでやめましょう。歳をとるっていやですね。こんな話ばっかりでw。で、なんだっけ。そうそう、今日は昨日出されたとある会社の開示について書こうと思ったんですよ。その会社とはGMOペパボ株式会社、ロリポップ!とかのレンタルサーバーなんかで有名な会社ですよね。東証JASDAQに上場しています。社長は佐藤健太郎さん(通称、けんちゃん)この会社が2014年12月期の決算発表したんですけど、その結果はさておいて。今期、つまり2015年12月期の予想利益が0円だったんですよ。ちょっとびっくりしました。捕捉しておきますと上場企業ってのは一応次の年度の利益計画を立てて予想を発表しなさいよって東証から言われていて、毎年発表するんですけど(予想ができないとしない会社もありますがw)、その予想利益が0円と発表したわけです。

GMOペパボは優秀な企業で、レンタルサーバーとかドメインとか決済とかストック型(累積で契約顧客が増える)ビジネスを展開していて、過去の業績みてもらえばわかりますけど、しっかりと利益を積み増してきているんですよね。それも毎年毎年、少しづつ着実に、だから本来であれば2015年12月期もしっかりと利益を出せる構造にあるはずなんですよね。なのに、利益予想はゼロ。決算短信だけの表紙さけみたらみんなびっくりしちゃいますよね。

で、何々って決算説明資料とか見てみると、今年は同社がはじめたminneというハンドメイドのCtoC(個人間取引)市場アプリの成長のために、他のサービスで上げた利益を全部突っ込むと書いてありました。これは大きな決断ですよね。

上場会社の経営って、実はこういう決断しずらいんですよね。自分たちがやっている事業が追いつめられているときは別ですよ。選択の余地なく新しいことに取り組まなければならない。もちろんそういうときは新しい資金が入ったり、経営陣が入れ替わったりするんですけどね。ぼくが決断が難しいと思うのは、既存の事業がそこそこ利益を上げているときに、次の事業に資金を突っ込むことです。よくそのためだけにMBOとかで上場をやめてやる企業があったりしますが、それだけすごく難しい決断だからです。なぜなら、既存株主は口では「新しい事業やって、もっと儲けてくださいね」なんて言いますけど、投資したときの理由は現在の安定的にもたらされる収益に期待したからだったりするからです。(ちゃんと利益出しながら、新しい事業やれなんてwそんな無茶いうなよが当たり前の世界です)だから、その安定収益を捨てて新しいことをやりますよなんて言った日にゃ、あんた、「なんだー!話が違うぞー!」って大騒ぎになるわけですよ。


当然、経営者はバカじゃないですからそんなこと投資家に言われたくないですよね。だから無難に今ある利益にすがりながら生きていく人も多いと思いますw。でも、経営者の中にもジレンマが当然あるわけです。今の事業の市場性とか、競合他社とかの現状を一番知っているのも経営者なわけです。だから、既存株主の側だけを見ることで失われる経営のダイナミズムについてもよくわかっています。でも、決断は難しいわけです。未上場の企業なら少数の株主を説明説得すればいいんですけどね。上場企業となると最低でも数千人、多くなれば数万人の株主を説得しなきゃならない。従業員や取引先にも説明しなきゃいけない。規模が大きくなればなるほど大変なわけです。いろんな逆風、不安に耐え忍ばなければなりませんw


さあさあ、それで今日、昨日のGMOペパボの発表を受けて、株価はどうなったかって?そりゃあ。やっぱり下がっています。午前中の時点では昨日に比べて6〜7%下がっています。でも個人的にはもっと下がるかもしれないなと思っていました。昨日の決算説明会での説明で、投資を前向きに取ってくれた株主もいたのでしょう。あーあ仕方ないやと思っているだけかもしれません。


でも何はさておき佐藤社長をはじめ経営陣は既に決断をしたわけです。覚悟を決めたわけです。あとは実行して結果を出すのみ。結果が出れば評価されるし、出なければぼろくそ言われる。経営は結果責任厳しいですね。でも、だから楽しいんですけどね。未来を作るってそういうことです。決算説明資料を確認してみてください。ハンドメイドのCtoC市場は着実に伸びています。米国では専業ベンチャーが上場してきています。国内で市場をつかむ千載一遇のチャンスかもしれません。あとはやり方ですよね。(ぼくが投資家ならこういうチャンスは見逃しませんよw)

GMOペパボの決算資料(PDF)

ぼくも同じような経営者のはしくれなので、いろいろ思うところありますが、IPOっていうのは未上場の時点でビジネスモデルを固めて利益を出してするんですけど、上場したあとそこからの事業転換ってなかなか難しいんですよね。スマホとかゲームのようなパラダイムシフト的な神風が吹けば別なんですけどね。そうはなかなか。でも、もし自分たちのビジョンが、将来自分たちがこうなりたいという世界が見えたら、現状なんてぶっ飛ばして、きちんとそれをストーリーに落して、取締役説得して、監査役説得して、従業員説得して、株主説得して、チャレンジするべきだと思うんですよね。ビジョンが見えてないのに金儲けのことばかり考えてるようじゃ絶対ダメだと思いますが、自分たちが実現したい世界があるなら戦うべきですよね。

さてさて、20代、30代のみなさんはいつか起業して自分の事業をでっかくしてって夢を持っている人もいるしょう。そういう人達から見ると、「すでに上場している、有名なベンチャー企業の、あるいは大企業の社長をやっている人はすごいなあ」とか思うかもしれませんが。でもね。実はみんな同じなんですよ。その時点時点で、自分が実現したい将来が見えているのか、それを実現したいために考え抜いて、決断し、行動に移しているのか。その現実との毎日が戦いなわけです。将来のことを考え続けなきゃならないのはみなさんと同じ。いつも同じことで苦しみ続けているわけです。

不正だとか、金儲けだとか、常にネガティブなイメージも付きまとう経営者の仕事ですが、日本ではやりたい人が減っているようですがwこんなにクリエイティブでエキサイティングな仕事もなかなかないと思います。投資家のみなさんもいつかご自身で事業やってみたらどうでしょうかw


けんちゃん、がんばれー!。雪の舞いちるこちら側の世界からのメッセージは以上です。


@ankeiy