アナログレコードの販売にみるいま消費社会で何が起こっているのか?

みなさん、こにゃにゃちは。さて、本日も新しいエントリーをお届けします。二日続けてブログを更新するなんて30億年ぶりぐらいです。ぼくの頭に異物でも混入してしまったのでしょうか。なんてくだらない前置きはいらないですよ。そうですね。まずは以下のコラムをご確認ください。

Vinyl record sales in 2014 were the highest they've been since 1993

英語ですね。読めませんね。はい、わかりました。私が要約しましょう。「米国でのアナログレコードの販売数が昨年、1993年の調査以来、最高になった」ということが書かれています。アナログレコード・・。ところでみなさん見たことありますか?今や生きた化石と化している黒くて丸くてくるくる回って音を出すアレです。あっ、もしかしてレコードの音の出し方知らない?言っておきますが、スマホをかざしても音は出ませんよw。

思い出せば、青春時代、黒歴史を少しお話ししますと、ぼくが最初に買ったLPレコードはさだまさしの帰去来です。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。

思い出に浸っている場合ではありません。まあ、最近めっきり見かけなくなったそのアナログレコードですが、それもそのはずで1986年に今から28年前にCDの発行枚数がレコードを超えると、坂道を転がるように販売数が落ちてあっという間に音楽の世界から姿を消してしまいました。まさに「あれから30年、若い頃はよく愚痴をこぼしていましたが今はご飯をこぼすようになりました」的な世界なのです(なんのこっちゃw)

で、先の調査ですが、もう一度グラフだけ取り出して見てみましょう。

1993年は販売数は数十万枚って感じでしょうか。まあ、世の中には天邪鬼な人ってのは必ずいて、「音楽はデジタルになったらつまらん、音楽はアナログに限る」とかいってCDを頑なに拒んでいる人や、CDじゃジャケットが小さすぎてつまらないからやっぱりLPジャケットが欲しいとか、DJで皿回すからレコードじゃなきゃダメとか、まあいろんな理由によって存在した小さな小さなマーケットって感じですよね。

面白いのは米国でインターネット接続が普及しはじめたのもこの1993年なんですね。まあ、そしてこの小さなマーケットがITバブルで湧く米国でほんの少し成長して、2000年に150万枚程度の市場になるわけです。翌年にITバブルがはじけたり、不幸なテロや戦争がおきてまたまた縮小してしまいます。2005年ー2007年には100万枚程度の市場に。まあ、言ってみれば10年間ほとんど成長がなかったわけですね。

ところがですよ。ところが。2008年あたりからグーンとセールスが伸び始めるわけですよ。そして、なんということでしょう。2014年には900万枚を超えるわけです。CDすら世の中に存在しなくなって、みんなパンドラを聴いているようなこのネット音楽全盛時代にですよ。来年は1000万枚突破は確実じゃないでしょうか。

うーん。では、この2007年-2008年にいったい何があったのでしょうか?皆さんも思い出してください。リーマンショックとかありましたよね。そのほかに消費に影響を与えるようなトレンドとしてはソーシャルネットワークじゃないでしょうか。ザッカーバーグが2006年9月に一般公開して、米国で大きく成長したのが2007年なんですね。まさに本格的なSNS時代に突入です。その後iPhoneの普及がSNSを広げ、音楽のネット化もぐんと進むわけです。シェアしてYoutubeで聞く時代の到来です。

2014年に920万枚売れたといってもまだまだ市場は小さいんですが、確実にアナログレコードきていますね。じゃあ、なぜアナログレコードが突然、売れるようになったんですかね?。いろんな仮説が立つと思いますが、ちょっとネットで調べた限りでは、主な購入者は若者層だとか、インディー・ロックファンが多いとか、アナログの音質と「針を置く儀式」wwに魅了されているとか、書かれていましたがこれはまあ、そのとおりでしょう。でもこれだけじゃ2000年-2006年ころまで売れなかったものが突然売れ出したのかの説明がつかないですよね。


そこで大胆に売れ始めた理由をちょっと考えてみましたよ。結論はにデジタル疲れがあるんじゃないかということです。音楽がネット上で時間売りされるようになり、いつでもどこでも好きな音楽が聴けるようなった。みんなと同じ音源をシェアできるようなった。その反動してそこでしか聞けない音、自分だけの音楽が欲しいとみんな思い始めたんじゃないですかね。これ気持ちわかるんですよね。80年代のオーディオマニアとしては、ターンテーブル台はできるだけ重くて大きいのがいいとか、針はどこそこがいいだとか、音が設備によってみんな違ってくるわけですね。そこでしか聞けないというのは、まさにその設備がないと聞けない音楽のある場所ってことですね。
そして、もう一つ付け加えるとするなら、音楽がデジタル化されることでレコードやCDというモノではなくなってしまったことに対する反動として、もう一度、音楽を実体のある形で手に入れたい、つまりアナログレコードのジャケットを所有したいとう欲求も生まれているんじゃないかという気がするわけです。

もう一歩踏み込んじゃいましょうかw。昨日のエントリーでも書きましたが、ネットが普及して、ソーシャルでつながって、コンテンツがどんどん均質化していく、そこでそれに対して自分なりのスタイルで情報を取り出す方法にニーズが発生しているんじゃないでしょうか。


「やっかいなモノ」や「サイトスペシフィックなコト」に対するニーズはネット社会の反動としていまぼくたちに迫ってきているのじゃないでしょうか。もう一度冷静にネット消費社会を見直す必要がありそうです。けれども、いまここでぼくに迫ってきている問題を一つ上げるとすると、今夜のぼくの心にすけべーという異物が混入して苦情が発生しないかということなのです。あっ、そんな話はどうでもいいですよね。

@ankeiy