フェイスブックの苦悩とテンセントの憂鬱。

女子社員から「社長がふざけたブログを書くから私たちまでふざけた人間に思われるじゃないですか。激おこぷんぷん丸!」とか、出版社の人から「そのうち”じゃねーし”とかいう象が登場する”夢がかなわないぞう”とかいう本を書くんじゃないですか?」(ギクッ)とか言われている今日この頃ですが、みなさんお元気でしょうか。

私のエレガントな性格が最近歪曲され、みなさんにきちんと伝わってない気もしますので、本日は真面目な文章を心がけてお届けしたいと思います。といってもあまり書きたいこともないので、最近ちょっと興味を持っているSNSやチャットツールのユーザー獲得競争について語ってみたいと思います。

まずはこちらのグラフをご覧ください。これは最近の世界の著名SNS、IM、チャットアプリ、ミニブログなどなど、まあ、いわゆるソーシャルコミュニケーションツールののアクティブユーザー数比べです。

ユーザー数では、どーんとやはりフェイスブックが君臨していますよね。先日発表になった3Qの業績発表でも予想を超える売り上げと利益をたたき出し、モバイル広告の売上もぐんと伸びて、フェイスブックの勢い止まらずという印象を市場に与えました。

ところが、株価はこの好業績を見てもいまひとつ反応しませんでした。市場は正直なんですよね。市場は何かを怖がっているのです。それはいわゆる”フェイスブック離れ”です。栄枯盛衰、はじめあれば終わりあり、ってことですけど、市場は慎重にそのシグナルをウオッチしているわけです。

しかし、フェイスブックとしてはこんなところでつまずいてはいられません。創業者ザッカーバーグ氏の夢は世界征服です。現在時価総額12兆円ありますが、30兆円を超えるGoogleの半分以下です。Google先生をけちらし、文字通りのフェイスブック社会を作り上げるためにはさらにユーザーを増やして、増収増益を続けていかなければなりません。

ところが最近、少し怪しいシグナルぽいものが出てきてしまいました。それは若者を中心にフェイスブックの利用が低下してきていないかとうものです。これはフェイスブック内部の人間も認めるところです。それでこんな記事が出ちゃたりするわけです。
英語が読めないみなさんにかわって私が直訳しましょう。「10代が言っている。さよならフェイスブック。こんにちはメッセンジャーアプリ梓みちよは決して歌いません(ってこういうこと書くか誤解されるんです)

要は若者はもうフェイスブックをあまりクールだとは思っていないかもしれない。家族や友人でがんじがらめになっているフェイスブックより手軽なWhatsappのようなメッセージングサービスの方がかっこいいじゃんって感じなっているんじゃないかというような話です。先に上げたユーザー数のグラフでもWhatsappがすごく支持されていることがわかりますよね。さらに、深刻なのはウィーチャットやLine、カカオトークなどのチャットアプリの台頭です。世界のソーシャルトレンドはフェイスブック的な深いソーシャルグラフより、軽くて速い「グルーピング」でつながるチャットアプリに移ってきているんじゃないかという指摘です。

ご存じのようにフェイスブックは、個人データをどんどん入力させてオープンにさせてソーシャルグラフを濃いものにしていくことを目指してきました。それがこのサービスの根幹にあるといっても過言じゃないと思います。ところがチャットアプリはそんなことどうでもいいじゃん、「要はコミュニケーションが取れればいいのよ」というところにフォーカスしているわけです。そのため巨漢フェイスブックはいきなりトレンドがライトになったからって急激には舵をきるわけにはいかないのです。

もう1点重要なポイントがあります。それはマネタイズの問題です。フェイスブックはその利益のほとんどを広告収入から上げています。ソーシャルデータを活用した広告が想像以上に効果がよくそのおかげで12兆円の時価総額がついているといってもいいでしょう。一方、チャット系のサービスの収益源はゲームです。先ほどのグラフでQzone(QQ)やウィーチャットを運営するテンセントなどは売上の半分以上はゲームなのです。つまり、軽いメッセージ&チャット系のサービスでもゲームを利用すれば巨大な利益を生み出すことがすでに証明されているわけです。けれども一方でフェイスブックのゲームはといいますと(Zyngaとか一時話題になりましたが)、深いソーシャルが邪魔をしてなのかよくわかりませんがどうもお寒い状況なのです。

こういう現状を見るにつけフェイスブックは焦ります。そんなこんなで米国で急成長しているSnapchatのようなサービスに3000億円などという高い値段をつけて買収提案をしたというようなニュースが流れてくるわけです。
スナップチャットがフェイスブックの30億ドル買収提案を拒否

拒否されたなんて書かれるところがフェイスブックの苦悩を物語っているわけです。ちなみにスナップチャットはライバルのテンセントから200億円程度の出資を受けています。というわけできっとフェイスブックの経営陣はカカオトークやLineに買収オファーを出したくなるほど苦虫を噛んでいるんじゃないかと思うわけです。

一方、フェイスブックのライバルと目される中国企業テンセントもウィーチャットのユーザー数が急伸しているし、巨大な中国マーケットも控えているし、ゲーム収益の伸びが直近でさらに高まっているし、時価総額も10兆円近くあるし、盤石な状況に見えるのですが、やはり株価の方は慎重に推移しています。

なぜか、それは中国にもう1社あるネットの巨人「アリババ」が総力を挙げて、ソーシャルチャット分野で巻き返しを狙っているからです。中国一、いや世界一のモバイルキャリア「チャイナテレコム」と組んでアプリを配布しようと企てたり、ユーザー10億人獲得を高らかに宣言しているからです。アリババが本気になればかなりヤバそうです。アリババのバックには日本のソフトバンクもついます。いつでも孫さんの頭が光っています。

さらにさらにアジア発の第3極Lineやカカオトークだってだまちゃあいません。両社ともすでに来年の上場の準備に入っているのではないかと観測され、Lineなどは年内に3億ユーザー突破が確実視されているわけです。たとえ、創業16年?、老練な経営で評価の高いテンセントですら、この先どうなるかはわからないわけです。

あま、結局のとろころ、ユーザーから見たら(ミニ)ブログ系サービスとソーシャル系サービスがそれぞれ1つずつあれば事足りるんじゃないかと思いますので、この2つの席を巡ってこれからも熾烈な戦いが展開されるわけです。

まあ、Lineに「女子会」というグループを作って女子とのチャットを楽しんでいるおっさんにはどうでもいい話ですけど。

@ankeiy