日本のネット企業が束になってもGoogle先生にまったく歯が立たない件について

みなさん、本日は少し残念なお知らせがあります。力を落とさぬようお読みください。連休中に暇な私が、国民を代表しまして、日本のネット企業50社を選び出し、9月20日終値でその時価総額を計算いたしました。その結果はと申しますと、以下表にしました通り11兆2,388億円というわけのわからない巨額な数字なりました。日本の一般会計予算の1/9くらいの数字でしょうか。

ここでやめておけばよかったんですが、さらに暇だったので海外のネット企業の時価総額も調べてみまることにしました。不幸というものは暇なときにやってくるものです。Google先生時価総額を見たときに驚愕いたしました。なんと30兆円!!です。私は桁を間違えているのかもしれないと何度か見直しました。けれども何度見ても30兆円じゃあーりませんか(懐かしいチャーリーじゃああーりませんか)知らぬが仏。馬の耳に念仏。サルも木から落ちる。どんな言葉もあてはまらないほど、日本のネット企業TOP50社が束になってかかっても、足元にも及ばない3倍近い数字になっているです。がーん。Google先生がちょっと本気になれば、その30%の力で、たとえば給料30万円もらっている人なら今月ちょっと生活を切りつめて余った10万円ほどで、日本のネット企業TOP50社をまとめて軽く買えてしまうのです。

私は軽いめまいを感じながらも気を取り直しました。そうだ。Google先生は特別な存在です。なんといっても全世界で先生と呼ばれくらいのご身分。こんなことで落ち込んでいる場合じゃない。次行ってみようということで、タコ坊主段ボールおやじが経営するアマゾンドットコムを見てみることにしました。「なんということでしょう。匠はおばあちゃんの思いでを掻き消すようなさらなる試練を与えました。」

がーん。14兆4000億円!!

タコ坊主も見事に育っていました。失礼しました。出直してきます。それでも負けず嫌いな私は自分に言い聞かせました。「アマゾンは世界のECのお父さんだ。1994年からがんばっているんだもんな。ここは百歩譲って負けを認めよう。」

よし、では、あの新興のバーグ星からやってきた宇宙人が経営する「プライバシーを裸にする」とか、わけのわからないことを言っている会社には負けていないだろう。と、単に優越感に浸りがたいがためだけにフェイスブック時価総額を調べてみました。

するどうでしょう。11兆5000億円じゃないですかああああああ。ここにも負けている・・・。私は既に西伊豆の土肥あたりで、海に沈む夕陽を眺めながら黄昏ている髪の毛がだいぶ寂しくなったリリー・フランキーのような気分になっていました。

カモメの鳴き声の合間に「このまま負けて帰るわけにはいかない」というジョン万次郎の声を聞いたような気がしました。BGMはもちろんZARDです。

再び気を取り直し、オークション企業のイーベイを調べてみました。この会社は日本から一度撤退をしているし、きっと勝てるに違いないと思ったからです。時価総額は7兆1千億円でした。「やりました!!おばあちゃん!!」初めての勝利です。私は目から熱いものがこみ上げてきました。「これならいける」私は次々に調べはじめました。プライスラインドットコム5兆1千億円、セールスフォース3兆1千億円、米ヤフー3兆1千億円、Linkedin2兆2千億円。私は日本ネット企業TOP50社の夢と責任を背負いながら、次々と勝利していきました。

しかし、そんなときふと我に返りました。「みんな1兆円を超えているじゃないか・・・。」そうです。日本では1兆円を超える企業はヤフージャパンと楽天だけなのに、米国には1兆円を超える企業がゴロゴロあるのです。私はひどい敗北感に襲われました。しかし、人間というのはなんと弱い動物でしょう。自分より強いものに出会うと、自分より弱いものを見つけて自分を安心させることで生きているのです。「そうだ。アメリカはネットの祖国。違う国を見てみよう」

気を取り直して、中国の企業を調べてみました。まずは皆さんもよくご存じの中国板ツイッターを運営するテンセントです。9兆5000億円です。「勝った・・・」薄氷の勝利です。次に検索エンジン百度を調べてみました。5兆1千億です。こちらも勝ちました。「50社まとめるとまだまだ日本をも捨てたもんじゃないなあ。」とつぶやきながら、私は虚しくパソコンの画面を閉じました。


犬の散歩から帰ってきて、再びこの記事を書き足しながら私は考えました。日本の名目GDPは米国の約1/3、普通に考えたら日本のネット企業はもっと評価されていてもいいはずなのに・・・。ところが時価総額で比較すると米国と日本のネット企業の差は10倍以上、いや100倍くらい開いているかもしれないのです。これはゆゆしきことです。情報産業はこれからの国内雇用を生み出す主力産業のはず。自動車や家電メーカーの雇用創出モデルが限界に近付いている中、ネット系のサービス産業はもっともっと盛り上がっていかなければいけないはずなのに。このままではアメリカや中国に雇用をみんなもっていかれてしまいます。アマゾンの倉庫が増えたくらいで喜んでいてはだめなのです。

政治や社会が著作権や既存ビジネスの利権を守るために、暗黙のプレッシャーを国内ネット業界にかけているうちに、世界は着実にネットシフトを進めて、新しい産業が国力を高めているのです。法人税制や規制緩和はこうした新産業の状況を理解して進んでいるのでしょうか。

先日、私は長野で森に入りました。そして木漏れ日の中にしばらく身を置きました。太く大きな木が太陽を求めて、空を埋めるよう上に上に伸びています。そして地面に近いところでは、わずかな木漏れ日から必死に光合成をし、少しづつ上を目指している木があります。大きな木にツルを巻き付け大きな葉をつけ異常に元気そうな植物もあります。そうです。森の中で植物たちは「成長のための過酷な生存競争を繰り広げている」のです。これが自然のすごさです。「経済に成長なんてもういらない」そんなことを言う人も多いかもしれません。大企業の遺産で暮らせればいいという若者もいるかもしれません。けれども、このネット森の中でで私たちは成長し、勝ち残っていかなければ未来はないのです。
そんなことを考える私の3連休をちょっとブログにまとめました。

@ankeiy