Apple株を2001年に100万円分買っていたら、いくら儲けたか?

いやーやっぱりGoogleAmazonときたらこの会社のことも調べないわけにはいかないですね。なんたって、ぼくのパソコンライフはQuadra650から始まっていますからね。なかなか処理スピードも速かったんですよ。1993年レベルですけど。ということでApple社のこの10年を語ってみましょう。

アップル社は言わずと知れた、スティーブ・ジョブススティーブ・ウォズニアックの「ふたりのスティーブ」から始まった企業ですね。1976年、Apple Computer Ⅰとして販売開始。翌77年にはインテルIPOで金持ちになっていたマイク・マークラも参加して法人化されました。

パーソナルコンピュータという概念が注目され、ヒットし1980年にあっという間に株式公開。創業メンバーはそれぞれ2億ドルという資金を手に入れるわけです。しかし、順調に見えたのはここまでで、ここからが苦難の歴史。

まず巨人IBMがPC分野に参入してきます。次第に市場を食われるアップル社。以前から次世代PC「Lisaプロジェクト」などは動いていたものの、同社は窮地に。そんな中で張り切りすぎたジョブスは次第に社内で疎まれ、窓際へ。Macintoshプロジェクトに居場所を見つけたがここでもドロドロの社内抗争。結局Macintoshが販売にこぎつけるのが1984年になっちゃうわけです。

PCの世界が今のネットビジネスのようにすごいスピードで動いている時代、開発に4年もかけたら時既に遅し。もちろん、熱狂的なMacファンはいたけれど、次第にIBM軍団にやれることになる。

そして、ジョブス自身も1985年に、自分がスカウトしたジョンスカリーに追放されてしまう。有名な話ですね。その後、ジョブス自身はNeXTという新しいコンピュータ会社を立ち上げる。しかし、こちらも苦難の連続。こだわりのジョブスは資金難に陥り、資産家のロスペローや日本のキャノンに資金援助を受けなんとか開発を続ける。

しかし時はWSの時代。まさにネットの扉が一歩一歩近づいていたわけだ。特にサンマイクロシステムズのネットワークにコミットした戦略は次第にNeXTを追い詰めていく。結局1993年にはハード部門をキャノンに売却して、リストラしNeXTはソフトウェア会社となってしまう(最後はこれがアップルの復活につながるんだけどね。まさに人間万事塞翁が馬ですね)

一方でジョブスはルーカスフィルムを1000万ドルで買収し、映画産業に参入。ピクサーのCEOに就任する。(ジョブスって人は本当にモノづくりが好きなんですね)そしてCGで映画を作るアイディアでディズニーと契約にこぎつける。4年と5000万ドルの私費を投じて作ったトイストーリーが大ヒット。1995年はピクサー社も株式公開し、再びジョブスは大金を手にする。ピクサー自体は2006年にディズニーに買収される。ジョブスはディズニーの筆頭株主になる(すごい!)

ピクサーの成功で一息ついたジョブスは、1996年、OSで行き詰っていたアップル社にNeXTが開発したOSを売り込みにいく。これが見事成功して、同年400億ドルでNeXTは買収される。ジョブスは顧問となる。見事、アップルに復帰したのだ。

ここからジョブスの手腕が発揮される。まずは長年の宿敵、マイクロソフトから1億5000万ドルの資金と業務提携を引き出す。一部のデザインや教育分野、マニアに支持されてきたMacの汎用性を広げる戦略だ。事業もPDA分野の撤退など大リストラを敢行する。そしてついに1998年、iMacでPC市場に反撃の狼煙をあげた。

2000年には正式にCEOに就任し、MacOSXの発売、iTunesiPodを引っさげた音楽事業の参入といったAppleの復活劇につながっていくわけだ。

さて、ここで2000年から今日までの売り上げのグラフを見てみよう。

(四半期ベース、単位:百万ドル)

グラフを見るとよくわかるんですが、1998年のiMacの発表とネットを使った直接販売で、調子良さそうに見えた同社の売上げも1999年のクリスマス商戦をピークに下降をたどりはじめるんですね。そして2001年の第1四半期には売上げが半減し、大赤字を出してしまうんです。普通、こうなるともうダメかとなるところなんですが、ジョブスはしっかりとネットの足音を聞いていて、無謀とも思われた音楽ビジネスに参入するわけです。

しかし、面白いのは2000年1月に画期的なインターネット戦略と銘うって発表されている内容。今みれば超しょぼい。この時点でまだ音楽事業との接点は語られていません。もちろん開発(アイディア)は進めていたんでしょうけどね。

そしてiTunesのデビューは2001年1月。そして2003年4月にiTunseStoreが開設されてダウンロード販売開始。日本では2005年8月スタートですね。ここから皆さんご存知のようにiPodのバリエーションと世代をどんどん上げていって、世界一の音楽再生機メーカーになってしまったんですね。売上げ的に見ると、2001年から2003年までつまりStoreがスタートするまでは苦戦が続いているですよね。そこからがまさにメイクドラマです。

さらに、音楽だけ終わらない同社はiPodで磨いた技術を引っさげてスマートフォン分野に参入。
iPhoneが発売されたのは2007年1月ですね。その使いやすさからあっという間に世界に広がり、アプリのダウンロード販売が始まると、売上げが波状的に伸びるわけです。

そして、2010年iPadの発売で、さらに売上げ、利益は加速。直近の2011年第2四半期の決算、なんですかあれ、四半期で2兆円越えているんですよね。利益も5000億円近い。メーカーで利益率20%を越えているなんて考えられないわけですよ。

それでいよいよ株価です。このグラフを見てください。

株価も売上げと同じで2004年あたりの音楽事業の成長を確認してからはうなぎのぼりですね。リーマンショックなんかもどこ吹く風って感じですね。4月20日終値で342.41ドル。それで2001年2月の14.44ドルが最安値ですから、これを100万円買ったとしましょう。途中1回200%の株式分割をしていますから倍率は47.42倍になっていますね。為替を考えなければ、100万円は現在4742万円になっているわけです。

どうですかアップルファンの皆さん。途中でジョブスを裏切って、Windowsマシンなんかに乗り換えていませんかw株式投資も信じるモノが救われるわけですね。さて同社の時価総額は現在約26兆円、PERは20倍前後。ジョブスの病気も心配ですが、この会社がさらに大きくなるのか、何かのきっかけでまたしぼむのか。神のみぞ知るってことですね。(Twitter @ankeiy)