2001年にAmazon.comの株を100万円分買っていたら、いくら儲かったか?
はっきり申し上げて、ぼくは本とCDの8割くらいはいまやアマゾンで買っていますよ。いまやアマゾン様がなくては生きていけません。ほんとにアマゾンはネットユーザーの、いや日本人の消費活動にがっつり食い込みましたよね。
現在は米国をはじめ、日本、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、中国、イタリアの8カ国で営業しているようです。まさに世界ナンバーワンのEコマース事業者ですね。
このAmazon.com、創業者で現在もCEOを勤めるジェフベソス氏によって1995年7月にサービスを開始しています。彼いわく「ネットが広がる中で、ビジネスをやらずにいられなかった」そうですから。まさに確信犯ですね。その上で、何を商売にするかで彼が選んだものが「本」「音楽」どちらもタイトルが多く、生活になくてはらないものだから、ネットのデータベースを利用したビジネスに最適だと考えたようです。
さらにベソス氏がすごいところは、はじめから当分は利益が出ないと宣言してビジネスをはじめたこと。在庫や物流をふくめある一定規模になるまで儲からないと説明して投資家からお金を集め、実際にビッグビジネスに育ててしまったわけですから。まさにベンチャー起業家のカガミですね。
Amazon.comのすごいところをいくつか紹介しましょう。一つはワンクリックオーダーリングのシステム。いまでこそ当たり前ですが、あらかじめ決済情報をデータベース管理することでユーザーに1回のクリックを強いるだけで、決済してしまう仕組みです。同社はこれで特許まで取得していますし、顧客を増やした原動力ですね。2つめはレコメンデーションの技術。これはXMLなどの会社を買収して築き上げたものですが、世の中に多々あるうざいレコメンド機能に比べれば、やっぱり一等賞じゃないでしょうか。3つめWebサービスの技術。今でこそ当たり前ですが、これによって外部のさまざまなサービスと連携が図られアマゾンの機能がネット上に拡張されました。
こうやってみてくると、同社はまさに技術の会社なんですね。このテクノロジーに裏打ちされたシステムの上で、ベソス氏が仕掛けるマーケティング戦略が動くわけですからまさに最強です。
マーケティング的には同社はアフィリエイトプログラムを創業直後から活用していることも有名ですし、顧客のレビューをデータベース化するとか、中古マーケット作って新品販売の機会損失を防ぐとか数えたらきりがありません。そうそう、確か100万人目の顧客が日本人でベソス氏がわざわざギフトを持って来日したこともありました。そんなパフォーマンスもできてしまうんですね。
あと同社の新規分野への取り組みも積極的です。1997年にキンドルで電子書籍戦争の口火を切ったのみならず、「本」と「音楽」でかき集めた顧客をベースにインテリア、スポーツ用品、日用雑貨などさまざまな分野に進出していきます。
あー長くなってしまったね。本題に入ります。その前にこの売り上げと利益、利益率の推移を見てください。
(四半期ベース、単位:百万ドル)
Amazon.comは1997年の5月に米NASDAQに上場するんですが、はじめて黒字になったのが2001年の第4四半期です。上場してからおよそ4年半の間利益を出していないんですよね。この間のバッシングは大変なものでした。アマゾンは永遠に利益が出せないんじゃないかとまで言われていました。ぼくもこの時期に創業したんですけど、アマゾンが利益ださないおかがで、資金集めに相当苦労しましたよ(愚痴w)
そして同社の歴史はまさにこの利益を出した2001年から始まるんですね。といってもですよ。グラフを見てもらえればわかりますが、売り上げこそ毎年確実に伸びているんですけど。利益率は数パーセントと決して、Googleのように大儲けできるビジネスじゃないんですね。
在庫や為替なんかのリスク、物流を含めた大型の設備投資もかかせないビジネスなんですよ。
あと、ちょっと話しがずれますが、米国のショッピングがいかに第4四半期に集中しているかがわかりますね。10月〜12月のホリデーシーズンに1年の半分近い買い物が行われるんですね。
株価は上場直後のITバブルで大きく上昇して2000年12月には113ドルをつけています。その後、利益がなかなか出せない中でITバブルがはじけ、2001年10月には5ドル51セントまで下落。そしてそこから成長の一途をたどることになります。面白いのは911とかリーマンショックとかの影響をほとんど受けていないところですね。いかに本や音楽がそういった有事にも人々に必要とされたかがわかりますね。
そして昨日4月19日の終値が178.82ドルです。さて、もしあなたが2001年の10月に5ドル51セントで100万円分株を買っていたとしたら、いくらになったでしょうか。32.45倍ですから昨日現在で3245万円になっているわけですね。ちなみにもう少し早くアマゾンの革新性に気付いて1997年5月上場時に15.75ドルで100万円買ったとしたらを計算してみると、同社はこれまで2分割2回、3分割1回の株式分割を行っているので、136.24倍。つまり100万円買っていたら、1億3624万円になっていたというわけです。
どうですか。こんなに増えるのわかっていたら絶対投資しますよね。ネット革命っていうのがいかに衝撃的だったかわかりますよね。ちなみにアマゾンのPERは現在70倍前後、Googleの20倍前後より随分評価が高いことがわかります。なぜか。それは来るべき電子書籍時代への期待値の大きさじゃないでしょうか。さて、現在時価総額6兆6130億円(82円換算)、Googeleの約半分。これからどうなるのか?は、残念ながら神のみの知るところですね。