近所のおばちゃんが、ウィキリークスだったら
うちの近所のおばちゃんの家のポストには、夜中のうちに、たくさんの差出人不明の手紙がくる。手紙はすべてワープロうちされており、誰が書いたものかわからない。内容はさまざまだ。
「近所の田中さんのご主人が銀座のキャバクラのおねーちゃんとできている」とか「小学校の小林先生はいつも賭けマージャンをしているとか」「中学校の野球部顧問の山田先生は部費を使いこんでいる」「町内会長の高本さんは町内会費でフィリピンパブに行っている」とか、そういう手紙が毎日届くのだ。
おばちゃんはその手紙の内容をせっせと整理して、真否を確認するために、対象者の周辺取材をする。この街にはおばちゃんの協力者はたくさんいる。そしてその協力者の名は明かされていない。
ほぼ真実が確認できた手紙は、おばちゃんの家の前の掲示板に張り出す。過去に間違ったことは一度もない。おばちゃんの家は駅に向かう途中の通り沿いにあり、多くの住民がその内容を確認する。そしてうわさする。
また、おばちゃんは「町だより」という町内報とも親密な関係があり、おばちゃんから提供される情報は月に1回のペースで記事にされ、各家庭のポストに投げ込まれる。
こんな街に住めますかね?