経営者のジレンマの苦しみと楽しみについて

みなさん、こんにちは。あっという間に2月ですね。昨日立春だったんですけどまだまだ寒そうですね。今日は東京でも雪が積もりそうです。風邪ひかないようにしてくださいね。さてさて今日は、みなさんに経営について少し考えてもらおうと思ってブログを書くことにしました。今回も本年のこのブログの基本路線「まじめか!」でおおくりしたいと思います。

個人投資家のみなさんのTwitterやブログなど眺めていると、「なんだこんだけしか利益でないのかあ」とか、「こんなちっぽけな増益なんて意味あんのかあ」とか、経営者の心にいちいちグサリと刺さるような言葉が並んでいて、体に悪いのですがw、まあ、立場が違えば仕方ないですよね。投資家のみなさんは株価が上がってナンボ。儲かるネタがあってはじめて評価できるわけですから。でもね。経営者側から見るとたとえ100万円でも1000万円でも利益を増やすってことはほんと大変なことなんですよね。

スマホゲーム会社や某巨大メディア企業の決算なんかみていると、簡単に何百億っていう営業利益出しちゃうから、もしかして利益出すことって簡単じゃないの?って考えちゃう人いるかもしれませんが、それはそれは言葉であらわせられないくらい大変なんですよ。ちょっと書くだけでも人件費、仕入れ原価、家賃払ったりして、アイディア載せて、お客さん口説いて買ってもらって、ようやく営業利益が出て、金利とか税金払ってようやく少しだけ利益が残るっていうこの複雑な構造の中で利益増やさなきゃんらないわけですからね。パズドラよりずっと難しいでしょw

ぼくは昔、フリーで仕事していたことがあるんですけどね。何社かコンサルティングのようなことしていてて月額で契約料もらったりしながら生活していたことあるんですけどね。その時にもらっていた月額を、会社作って事業はじめてその利益で抜くまで3年かかりましたよ。ほんと、事業で利益出すのって大変なんですからw

いやいや、こんな苦労話をしだすときりがないのでやめましょう。歳をとるっていやですね。こんな話ばっかりでw。で、なんだっけ。そうそう、今日は昨日出されたとある会社の開示について書こうと思ったんですよ。その会社とはGMOペパボ株式会社、ロリポップ!とかのレンタルサーバーなんかで有名な会社ですよね。東証JASDAQに上場しています。社長は佐藤健太郎さん(通称、けんちゃん)この会社が2014年12月期の決算発表したんですけど、その結果はさておいて。今期、つまり2015年12月期の予想利益が0円だったんですよ。ちょっとびっくりしました。捕捉しておきますと上場企業ってのは一応次の年度の利益計画を立てて予想を発表しなさいよって東証から言われていて、毎年発表するんですけど(予想ができないとしない会社もありますがw)、その予想利益が0円と発表したわけです。

GMOペパボは優秀な企業で、レンタルサーバーとかドメインとか決済とかストック型(累積で契約顧客が増える)ビジネスを展開していて、過去の業績みてもらえばわかりますけど、しっかりと利益を積み増してきているんですよね。それも毎年毎年、少しづつ着実に、だから本来であれば2015年12月期もしっかりと利益を出せる構造にあるはずなんですよね。なのに、利益予想はゼロ。決算短信だけの表紙さけみたらみんなびっくりしちゃいますよね。

で、何々って決算説明資料とか見てみると、今年は同社がはじめたminneというハンドメイドのCtoC(個人間取引)市場アプリの成長のために、他のサービスで上げた利益を全部突っ込むと書いてありました。これは大きな決断ですよね。

上場会社の経営って、実はこういう決断しずらいんですよね。自分たちがやっている事業が追いつめられているときは別ですよ。選択の余地なく新しいことに取り組まなければならない。もちろんそういうときは新しい資金が入ったり、経営陣が入れ替わったりするんですけどね。ぼくが決断が難しいと思うのは、既存の事業がそこそこ利益を上げているときに、次の事業に資金を突っ込むことです。よくそのためだけにMBOとかで上場をやめてやる企業があったりしますが、それだけすごく難しい決断だからです。なぜなら、既存株主は口では「新しい事業やって、もっと儲けてくださいね」なんて言いますけど、投資したときの理由は現在の安定的にもたらされる収益に期待したからだったりするからです。(ちゃんと利益出しながら、新しい事業やれなんてwそんな無茶いうなよが当たり前の世界です)だから、その安定収益を捨てて新しいことをやりますよなんて言った日にゃ、あんた、「なんだー!話が違うぞー!」って大騒ぎになるわけですよ。


当然、経営者はバカじゃないですからそんなこと投資家に言われたくないですよね。だから無難に今ある利益にすがりながら生きていく人も多いと思いますw。でも、経営者の中にもジレンマが当然あるわけです。今の事業の市場性とか、競合他社とかの現状を一番知っているのも経営者なわけです。だから、既存株主の側だけを見ることで失われる経営のダイナミズムについてもよくわかっています。でも、決断は難しいわけです。未上場の企業なら少数の株主を説明説得すればいいんですけどね。上場企業となると最低でも数千人、多くなれば数万人の株主を説得しなきゃならない。従業員や取引先にも説明しなきゃいけない。規模が大きくなればなるほど大変なわけです。いろんな逆風、不安に耐え忍ばなければなりませんw


さあさあ、それで今日、昨日のGMOペパボの発表を受けて、株価はどうなったかって?そりゃあ。やっぱり下がっています。午前中の時点では昨日に比べて6〜7%下がっています。でも個人的にはもっと下がるかもしれないなと思っていました。昨日の決算説明会での説明で、投資を前向きに取ってくれた株主もいたのでしょう。あーあ仕方ないやと思っているだけかもしれません。


でも何はさておき佐藤社長をはじめ経営陣は既に決断をしたわけです。覚悟を決めたわけです。あとは実行して結果を出すのみ。結果が出れば評価されるし、出なければぼろくそ言われる。経営は結果責任厳しいですね。でも、だから楽しいんですけどね。未来を作るってそういうことです。決算説明資料を確認してみてください。ハンドメイドのCtoC市場は着実に伸びています。米国では専業ベンチャーが上場してきています。国内で市場をつかむ千載一遇のチャンスかもしれません。あとはやり方ですよね。(ぼくが投資家ならこういうチャンスは見逃しませんよw)

GMOペパボの決算資料(PDF)

ぼくも同じような経営者のはしくれなので、いろいろ思うところありますが、IPOっていうのは未上場の時点でビジネスモデルを固めて利益を出してするんですけど、上場したあとそこからの事業転換ってなかなか難しいんですよね。スマホとかゲームのようなパラダイムシフト的な神風が吹けば別なんですけどね。そうはなかなか。でも、もし自分たちのビジョンが、将来自分たちがこうなりたいという世界が見えたら、現状なんてぶっ飛ばして、きちんとそれをストーリーに落して、取締役説得して、監査役説得して、従業員説得して、株主説得して、チャレンジするべきだと思うんですよね。ビジョンが見えてないのに金儲けのことばかり考えてるようじゃ絶対ダメだと思いますが、自分たちが実現したい世界があるなら戦うべきですよね。

さてさて、20代、30代のみなさんはいつか起業して自分の事業をでっかくしてって夢を持っている人もいるしょう。そういう人達から見ると、「すでに上場している、有名なベンチャー企業の、あるいは大企業の社長をやっている人はすごいなあ」とか思うかもしれませんが。でもね。実はみんな同じなんですよ。その時点時点で、自分が実現したい将来が見えているのか、それを実現したいために考え抜いて、決断し、行動に移しているのか。その現実との毎日が戦いなわけです。将来のことを考え続けなきゃならないのはみなさんと同じ。いつも同じことで苦しみ続けているわけです。

不正だとか、金儲けだとか、常にネガティブなイメージも付きまとう経営者の仕事ですが、日本ではやりたい人が減っているようですがwこんなにクリエイティブでエキサイティングな仕事もなかなかないと思います。投資家のみなさんもいつかご自身で事業やってみたらどうでしょうかw


けんちゃん、がんばれー!。雪の舞いちるこちら側の世界からのメッセージは以上です。


@ankeiy

アナログレコードの販売にみるいま消費社会で何が起こっているのか?

みなさん、こにゃにゃちは。さて、本日も新しいエントリーをお届けします。二日続けてブログを更新するなんて30億年ぶりぐらいです。ぼくの頭に異物でも混入してしまったのでしょうか。なんてくだらない前置きはいらないですよ。そうですね。まずは以下のコラムをご確認ください。

Vinyl record sales in 2014 were the highest they've been since 1993

英語ですね。読めませんね。はい、わかりました。私が要約しましょう。「米国でのアナログレコードの販売数が昨年、1993年の調査以来、最高になった」ということが書かれています。アナログレコード・・。ところでみなさん見たことありますか?今や生きた化石と化している黒くて丸くてくるくる回って音を出すアレです。あっ、もしかしてレコードの音の出し方知らない?言っておきますが、スマホをかざしても音は出ませんよw。

思い出せば、青春時代、黒歴史を少しお話ししますと、ぼくが最初に買ったLPレコードはさだまさしの帰去来です。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。

思い出に浸っている場合ではありません。まあ、最近めっきり見かけなくなったそのアナログレコードですが、それもそのはずで1986年に今から28年前にCDの発行枚数がレコードを超えると、坂道を転がるように販売数が落ちてあっという間に音楽の世界から姿を消してしまいました。まさに「あれから30年、若い頃はよく愚痴をこぼしていましたが今はご飯をこぼすようになりました」的な世界なのです(なんのこっちゃw)

で、先の調査ですが、もう一度グラフだけ取り出して見てみましょう。

1993年は販売数は数十万枚って感じでしょうか。まあ、世の中には天邪鬼な人ってのは必ずいて、「音楽はデジタルになったらつまらん、音楽はアナログに限る」とかいってCDを頑なに拒んでいる人や、CDじゃジャケットが小さすぎてつまらないからやっぱりLPジャケットが欲しいとか、DJで皿回すからレコードじゃなきゃダメとか、まあいろんな理由によって存在した小さな小さなマーケットって感じですよね。

面白いのは米国でインターネット接続が普及しはじめたのもこの1993年なんですね。まあ、そしてこの小さなマーケットがITバブルで湧く米国でほんの少し成長して、2000年に150万枚程度の市場になるわけです。翌年にITバブルがはじけたり、不幸なテロや戦争がおきてまたまた縮小してしまいます。2005年ー2007年には100万枚程度の市場に。まあ、言ってみれば10年間ほとんど成長がなかったわけですね。

ところがですよ。ところが。2008年あたりからグーンとセールスが伸び始めるわけですよ。そして、なんということでしょう。2014年には900万枚を超えるわけです。CDすら世の中に存在しなくなって、みんなパンドラを聴いているようなこのネット音楽全盛時代にですよ。来年は1000万枚突破は確実じゃないでしょうか。

うーん。では、この2007年-2008年にいったい何があったのでしょうか?皆さんも思い出してください。リーマンショックとかありましたよね。そのほかに消費に影響を与えるようなトレンドとしてはソーシャルネットワークじゃないでしょうか。ザッカーバーグが2006年9月に一般公開して、米国で大きく成長したのが2007年なんですね。まさに本格的なSNS時代に突入です。その後iPhoneの普及がSNSを広げ、音楽のネット化もぐんと進むわけです。シェアしてYoutubeで聞く時代の到来です。

2014年に920万枚売れたといってもまだまだ市場は小さいんですが、確実にアナログレコードきていますね。じゃあ、なぜアナログレコードが突然、売れるようになったんですかね?。いろんな仮説が立つと思いますが、ちょっとネットで調べた限りでは、主な購入者は若者層だとか、インディー・ロックファンが多いとか、アナログの音質と「針を置く儀式」wwに魅了されているとか、書かれていましたがこれはまあ、そのとおりでしょう。でもこれだけじゃ2000年-2006年ころまで売れなかったものが突然売れ出したのかの説明がつかないですよね。


そこで大胆に売れ始めた理由をちょっと考えてみましたよ。結論はにデジタル疲れがあるんじゃないかということです。音楽がネット上で時間売りされるようになり、いつでもどこでも好きな音楽が聴けるようなった。みんなと同じ音源をシェアできるようなった。その反動してそこでしか聞けない音、自分だけの音楽が欲しいとみんな思い始めたんじゃないですかね。これ気持ちわかるんですよね。80年代のオーディオマニアとしては、ターンテーブル台はできるだけ重くて大きいのがいいとか、針はどこそこがいいだとか、音が設備によってみんな違ってくるわけですね。そこでしか聞けないというのは、まさにその設備がないと聞けない音楽のある場所ってことですね。
そして、もう一つ付け加えるとするなら、音楽がデジタル化されることでレコードやCDというモノではなくなってしまったことに対する反動として、もう一度、音楽を実体のある形で手に入れたい、つまりアナログレコードのジャケットを所有したいとう欲求も生まれているんじゃないかという気がするわけです。

もう一歩踏み込んじゃいましょうかw。昨日のエントリーでも書きましたが、ネットが普及して、ソーシャルでつながって、コンテンツがどんどん均質化していく、そこでそれに対して自分なりのスタイルで情報を取り出す方法にニーズが発生しているんじゃないでしょうか。


「やっかいなモノ」や「サイトスペシフィックなコト」に対するニーズはネット社会の反動としていまぼくたちに迫ってきているのじゃないでしょうか。もう一度冷静にネット消費社会を見直す必要がありそうです。けれども、いまここでぼくに迫ってきている問題を一つ上げるとすると、今夜のぼくの心にすけべーという異物が混入して苦情が発生しないかということなのです。あっ、そんな話はどうでもいいですよね。

@ankeiy

「過去との競合」から見える仕事観について

先日、ラジオを聴いていたら作家の平野啓一郎さんが「小説の電子化って大変なんです。ぼくの作品のライバルがトルストイになったりするんですよ」とか話していました。どういうことかというと、ネット社会以前は当然ですが小説は印刷物としての「本」の形でしか存在しなかったので、ある程度時間が経つと、絶版になったり、当然物理的に流通量が減ってきて、その本と読者が出会う機会が損なわれてくるわけです。それに代わって新しい小説家が登場し、読者がその人の作品にふれる機会が増えることで、新しい小説家は経済的に自立していくわけですが、最近はそれが難しくなっているというわけです。つまり過去の作品がどんどんデジタル化されるために、過去の作家と現在の作家の作品が同列化され、新しい小説家にとって過去の人も十分ライバルになりうる状況が生まれている。平野さんの先の発言はそういう文脈から発っせられたものでした。

一見、デジタル化で市場が広がり、翻訳の機会を得れば世界にまで届きそうな電子書籍市場で「過去との競合」という新しい問題が生まれているわけですが、これは小説だけの話ではありません。音楽や映像もまったく同じ状況だと思われ、新しい楽曲が過去の名曲と競合状況になっていることは間違いないでしょう。Youtubeの隆盛を見るまでもなく、ハードディスクの低コスト化やクラウド技術の進歩、インターネット回線の高速化がこうした事態に拍車をかけているわけですが、この流れはもう誰も止めることはできません。

いわゆるコンテンツの過去との競合は、ネット上のコンテンツ全体の問題とも捉えることができます。ある意味、近代社会の情報ビジネスは、(古代ギリシャ時代から進歩などしていないw)人間の本質を捉えなおすことで商売をしてきた側面があり、アーカイブ化されることは必ずしも都合の良いことばかりじゃないわけです。コピーされて拡散されてしまうことも含めこれはもうネットの宿命と言わざるを得ませんが「情報コンテンツ」そのもので商売することは今後どんどん厳しさを増していくのではないでしょうか。この世界を突き詰めると、ベンヤミンもびっくりの複製時代からは想像もできないようなとんでもない価値のフラット化がおきているのではないでしょうか。(個人がやるとか企業がやるとかそんな垣根などは当の昔になくなっていますw)

そんな視点で見れば、現在のエンターティメント業界の動きはかなり合点のいくものがいくつもあります。例えば、国内でのAKB的なコンテンツ販売方法は、過去との競合問題を回避するため、常に自分たちがライブを行うホームステージを持ち、イベントを重要視する、つまりネットはあくまでもイベントへの集客告知手段として機能させ、音楽のデリバリやデジタル化のビジネスをできるだけ回避するとか、ちょっと残念ニュースが流れているw仮面アイドルなんかもさらに顔すらデジタル化をさけることでリアルなイベントや音楽流通を生み出すとかね。

米国の音楽市場なんていうのは、コンテンツごとの販売を既に放棄してしまってw、パンドラなんかは月額会員制で音楽を聴くようにしていますけど、これなどはいち早く過去との競合問題と決別するために「○○の音楽を聴く」という価値を「音楽を聴く時間」という価値にシフトさせて成功させているわけです。映像も時間売りの流れは止められませんよね。

デジタルコンテンツの流通という誰もが夢をみたビッグビジネスが逆にクリエイターの首を絞めるなんて結果になってしまってはそもそもの良質なコンテンツなど生まれませんし、いずれ産業として成り立たなくなってしまいます。そこでがぜん注目されるのが、ネットそのものは、無料の情報流通(つまり広告ですねw)として利用して、リアルなイベントで稼ぐというビジネスモデルです。ガガ様とかティラースイフトとか米国のミュージシャンなんかはまさにそれですし、DJが想像を超える巨額の収入を得ている現実もこのあたりに秘密がありそうです。

まあ、未だにネットは「流通革命だ!」とかいって、コンテンツをネットで販売することに懸命になっている方もいらっしゃいますし、それをまったく否定するつもりありませんが、やはり時代はSNSやブログを情報拡散手段として利用して、リアルな現場でビジネスにつなげるという方向性が見えてきているように思います。ちょっと、視点を変えると、ぼくはSNS時代の恩恵を一番享受している企業の一つにオリエンタルランドがあると思うんですが、ディズニーランドのようなそこにしかない物語が提供できる特殊な場所を持ち、ネットを活用して集客につなげる。だってディズニーランドに行った人は、フェィスブックで楽しい自分たちの家族の物語をつぶやくでしょうし、情報が拡散するための材料なんてゴロゴロ転がっているわけです。USJやハウステンボスのHISなんかもまったく同じ理由で業績が上向いているんだと思います。ネットに国境はありませんしね。最近映画館も映像と一緒に椅子が動いたり風が吹いたりするような設備投資が進んでいるようですが、そこにいかないと体験できない場所づくりの方向は間違っていないと思います。

先日、中学生と話をする機会があって「将来有望な職業って何ですか?」なんて質問されて、商社マンとか銀行員とか言おうかどうかちょっと困ったんですけどw、ぼくはイベントプロデューサーという職種を上げました。モノよりコトっていう大きな流れもあるんですが、音楽ライブを作るとかテーマパークを作るとか美術展を作るとか、なんでもいいんですが、そこにいかないと体験できないものをしっかりとビジネスに落とし込める(もちろんネットもフル活用する)スキルを身につけたら将来かなりイケてるんじゃないかと思います。

もっと言うならそのイベントが「サイトスペシフィック」なものであればさらに素晴らしいと思います。ぼくはお会いしたことないんですが、越後妻有の「大地の芸術祭」をプロデュースした北川フラムさんなんか時代の先端を行かれているんじゃないでしょうか。よくわかりませんがw

まあ、つらつらと書きましたが、もしこの文章を就活生が読んだらぜひうちの会社に面接に来てください。ネットを活用した集客について徹底的に修行ができる環境をご用意してお待ちしておりますw

@ankeiy

ネット広告市場でなくてはならい存在になるために。

あけましておめでとうございます。今年もマイペースでこのブログを更新していきますのでよろしくお願いいたします。さてさて、本年一発目ということなので、私も経営者の端くれとして2015年の経営や事業について少し触れてみたいと思います。今回は「真面目か!」で失礼します。

誰も気づいていない可能性が高いのですが、うちの会社は昨年末にしれっと組織変更をしています。詳しくは開示を見てもらいたいと思いますが、ポイントは、事業部体制と新規事業への取り組みの再構築です。⇒IRリリース(PDF)

ぼくたちが事業をさせていただいているネット広告市場は、2011年くらいからスマホ時代が始まっているのだと思いますが、この数年はモバイルへのシフトというとにかく大きな波がありました。そんな中、スマホの普及が始まった当初は経営的には相当な迷いがありました。というのも消費者はスマホにどんどんシフトするかもしれないが、広告主やメディアはスマホに簡単にシフトすることができないという問題があるからです。たとえば、お正月といえば年賀状ですが、現在は年を追うごとに市場が縮小している年賀状の発行枚数がピークに到達したのが2004年だと言われています。みんなびっくりすると思いますが、電子メールが普及しはじめた1995年から10年間も年賀状市場は伸び続けていたわけです。それと同じようにいくらスマホシフトがいくら早いとはいえ、ガラケーやPCの広告市場は経営的にはなえがしろにできないと思っていました。だからと言ってそこにこだわりすぎると、新しいスマホ市場に後れを取ってしまう。それは厳しい数年間でした。そこで私たちは事業部や子会社に可能な限り権限を持たせその中でデバイスの変化や広告市場のパラダイムシフトを現場感覚で感じ取り、舵をきっていける組織体制を目指しました。コンセプトは「クリエィティブ・カオス」です。混とんとした中でこそ生まれる現場の創造力を大切にするという考え方です。その中から、スマホ向けのアドネットワークのnendやCPI専用のアドネットワークであるadcropsなどのサービスが次第に成長してくれました。

今回、組織変更に至った理由は明確です。スマホの普及期が終わったからです。ある意味、この数年間は「アドノミクス」と言えるような特異な状況でした。アベノミクスになぞらえて説明すると、1本目の矢は新しいデバイスとしてスマホが世の中にばらまかれネットの利用時間がグーンと伸びる金融緩和のような状況。2本目の矢はスマホゲームというマネタイズ手段から供給される広告予算、つまり財政出動。そして3本目の矢がモバイル端末を使った新しい起業やサービスが育っていく成長戦略。といったところでしょうか。そんな中で昨年の4月くらいから1本目と2本目の矢の勢いは徐々に落ちていきました。(今後も市場は大きくなり続けるでしょうが、成長率が低下しているという意味です)、そして今年はまさに3本目の矢が期待されるわけですが、新しい商習慣はそんなに急激に市場を変えるものではありません。これから10年かけて、PCでのEコマースの利用が普及していたったように成長していくことでしょう。

そこで、うちの会社がどのような組織で臨むべきかと考えた際に、そろそろ、この「アドノミクス」という特異な成長の中で育ったサービスの課題を明確化し、それぞれの分野が競い合いながら成長を極限まで上げる必要性があると思いました。言葉を変えると、3本目の矢と共に成長していけるような体制へのシフトです。


そして、当社の事業マップが、以下になります。


ファンコミュニケーションズグループとしては「A8.net」「Moba8.net」「nend」「nex8」そして子会社エイトクロップスが運営する「adcrops」という5つのアドネットワークの価値を最大化していくということになります。また、新規事業を生み出す仕組みもそれぞれの事業部や部門に分散させます。一時的に非効率になってもそれぞれの部門の独立性をできるだけ尊重していこうと思っています。

また、このような2次元のマップにすると、円の大きさが市場の大きさのようにとらえられてしまうかもしれませんが、それは違います。というのも、それぞれの事業には深さがあるからです。深さは海外市場だったり、動画広告やオーディエンスターゲティングなどの広告手法ということになるでしょう。深さを追求した先に限界市場が見えてくるわけです。


今後も新しい組織が成長していくために様々な困難があると思います。たとえばA8.netのようなPC広告市場を中心にしてきた成功報酬型アドネットワークは、急激なスマホシフトが起こった結果、PCに強いことが弱みになります。Googleですらモバイルの検索に対して試行錯誤している中で、検索技術に大きく頼ったコンテンツ群をネットワークしていることも大きな課題です。急成長をしてきたスマホアドネットワーク「nend」も、今後消費者の広告慣れが進む中で、広告を効果を高めるための継続的な改良など次々に課題が目の前に立ちはだかるでしょう。

けれども、ぼくはファンコミュニケーションズの現場の力を信じます。それは「成功報酬型」という他の広告会社がネット広告以前に持ちえなかった「力」です。広告主やパブリッシャーあるいは消費者というお客様に価値が提供できないと、私たちは少しも収入を得ることができない、つまり存在価値がない、顧客と運命共同体であるという「危機感のDNA」の持つ力です。

理想の組織というのはいろいろあると思いますが、ぼくが組織にとって一番大切だと思うのはその自然体だと思います。例えば、手に思い荷物を持てば、その重さを体全体で受け止めるために重心を後ろに移すとか、背中に荷物を背負えば、前かがみになるとか、向い風が吹けばできるだけ体を縮めて風の抵抗を少なくするとか、人間はあらゆる外的な環境に対して自然と体を動かします。これが生き伸びることの基本だと思います。組織にもそうであって欲しいと思うわけです。悪い組織は、この当たり前な自然体ができなくなります。自分がいまどういう状況かわからなくなってしまうからです。

2015年に目指すところは、今回生まれた新しい組織、部門に、まず自分たちが生き残るための自然体を身につけてもらいたいと思います。その上で音楽に例えるなら、それぞれの部門が自分の理想する素晴らしい音楽を目指しますが、気がつくと自分の組織の演奏ばかりでなく他の組織の音もあたかも自分たちが出しているように錯覚するくらい、自分たちの目指す方向性が重なり合うような心地よさ。どこかの部門が小休止していても、その空白は次の音によって気持ちのいい「間」に変わるような深み。そして、それは企業全体ですばらしいオーケストラの演奏のようになり、聴衆としての私たちのステークホルダーの皆さんの心に染み入るようになるようなそんな演奏者でありたいと思います。本年もファンコミュニケーションズグループをよろしくお願いいたします。

@ankeiy

日本の上場ネット企業50社「がんばれー!」の巻

みなさん、こんばんは。秋の夜長を楽しんでおりますでしょうか。私はまったくブログを書くつもりなどなかったのですが、たまたま開いたパソコンで昨年の10月17日付けで、ネット企業50社の時価総額をリスト化していることに気づいてしまい、これは1年後の今の状況を調べておかねばならぬということで、大切な日曜日の夕べの2時間あまりを株価調べに費やしてしまい、まったく秋の夜長を楽しんでおりません。気分はまるで月曜日の宿題をやっていないことに気づいてしまいサザエさんを見ることができずに泣きながら漢字の書き取りをやっている小学生といったところでしょうか。

まあ、いずれにしても以下の表を見てください。


(データ消しちゃったのでこの画像しかなくて修正できないくて注記が間違っていますが、比較の株価は2013年の10月18日です。)

残念なことに1年前と比較して、ネット企業上場50社の合計時価総額は10兆円を切ってしまい。昨年よりパワーダウンしてしまっているようです。まあ、昨年はアベノミクスの恩恵を受けて株価が上昇の波に乗っていたとはいえ、世界最高の成長産業であるネット企業の時価総額が減少してしてしまっているとはなんとももはや困ったもんです。個別にみると、mixiの24倍というとんでもない成長などが光っておりますが、日本のゲーム産業全体からみるとmixiの上昇分を他のゲームパブリッシャーの減少分で打ち消してしまっています。上昇をしている企業もありますが全体的にはしょっぱい結果となってしまいました。

がんばれ、日本のネット企業!

さて、まったくブログを書く熱意がないんですが、一つだけ言及しておきます。これで日本のネット企業の成長が終わったなどと思わないでくださいね。なんてったって日本のEC化率はまだ6%程度と言われていますし、ぼくがビジネスしている広告業界においてもネット広告のシェアはまだ20%程度、まだまだ大きなポテンシャルを持っていることは間違いありません。周りを見回してください。スマホ、スマートTV、カーナビ、ゲーム端末、街頭看板、電車広告に至るまでどんどんネット化していますよね。このトレンドはもう誰も止めることができません。

ということで、みなさん、ごきげんよう、さようなら。

@ankeiy

株式会社ファンコミュニケーションズは、本日15歳になりました。

1999年10月1日に会社登記をしましたので、本日2014年10月1日をもちまして、私が代表取締役を務める株式会社ファンコミュニケーションは設立15年となりました。東京都民の日だと勘違いしている人がいるといけませんので、念のためご報告申し上げます。

この15年間を振り返りますと、まったく成長していない日本経済の姿があります。ITバブルの崩壊、米911テロ、ホリエモン事件、リーマンショック東日本大震災など、日本を震撼させる様々な出来事がありました。


               (単位:10億円、内閣府:2014年はIMFによる2014年4月時点の推計)

1999年の名目GDP504兆9,031億円なのですが、2014年の予想は492兆3,951億円と、残念ながら数字が小さくなってしまっています。

また、国内の広告市場もGDPに引っ張られるように成長が止まっており、


           (単位:億円、経済産業省:2014年は名目GDP成長率と同程度の成長を想定)

2007年の5兆8,671億円をピークに、足元でもそれを上回ることができていません。


そんな中で、私どもファンコミュニケーションズは、急成長するインターネット広告という分野で事業をさせていただいたおかげで、


(単位:億円、電通:2007年度からは制作費が加算、2014年は2012-13と同じ成長率で想定)

1999年はわずか241億円しかなかったインターネット広告市場が、2014年予想では1兆225億円という15年間で40倍になるという、とんでもない市場拡大の恩恵を受け、

                                    (単位:百万円)

1999年にはわずか800万円程度しかなかったファンコミュニケーションズの売上が、2014年会社予想では311億4,800万円と、じつに3,893倍になり、経常利益も本年会社予想で57億4,800万円まで出せる企業に成長させていただきました。

また、2005年にはJASDAQに株式上場をさせていただき、また本年3月東証一部に市場替えをさせていただき、1999年に資本金1,000万円程度でスタートした会社が、2014年9月30日株式市場の終値によりますと時価総額971億6,400万円となり、設立時の資本金を当時の会社の価値と考えると、15年間で8,000倍以上の「ご評価アップ」をいただいていることなります。

スタッフもスタート時は4名で始めた会社ですが、2014年9月11日現在はグループ総勢330名を超え、80倍の人員になっております。(もう、自慢やめぇい!w)

これもひとえに、お客様、取引先の皆様、会社設立から今日までこの会社の成長をお手伝いいただいたスタッフの皆様、またスタッフを心身ともに支えてくれる家族の皆様、投資家の皆様、その他あらゆるステークホルダーの皆様のおかげだと思っております。あらためて感謝申し上げます。ありがとうございます。

私は引き続き可能な限り成長する事業領域を見つけ、成長するための企業の仕組みづくりに励んでいきたいと考えておりますので、今後とも禿ないようによろしくお願いいたします。

@ankeiy